2017.4.1
高濃度乳房デンスブレストdense breast とは
――マンモグラフィで乳がんが見えるのはせいぜい80%です――
乳房は主に乳腺実質(母乳を造る組織)と脂肪からできています。その割合がマンモグラフィでの乳がんの発見率に直結しています。マンモグラフィでは正常乳腺実質も乳がんも白く写ります。一方脂肪は黒く写ります。下のマンモグラフィをみて下さい。両方に乳がんがあるのですが、左は明らかにわかりやすいです。ところが右はわかりにくいです。両方とも乳がんのしこりは触ります。右の人を『デンスブレスト』と言います。
デンスブレスト(高濃度乳房)とは、乳房の構成を4段階にわけて乳腺実質が多い方の2段階(不均一高濃度+極めて高濃度)を言います。
乳房濃度が高い(乳腺内の脂肪が少ない)人はマンモグラフィの感度が低く(乳癌があっ
ても見えないです。また、乳がんになりやすいとも言われています。ヴィークでも乳がんの診断がついた人でも20%の人はマンモグラフィではみえませんでした。
実際の宮城県、福井県のデータですが、デンスブレスト(極めて高濃度+不均一高濃度)では乳がん発見率(感度)は33%から70%弱です。言い換えれば乳がんがあってもマンモグラフィでは33%から70%弱の人しかみつけられないのです。
一般的には若い人ほど乳腺が多く、年齢がいくほど脂肪が多くなる傾向ではありますが、個人差が非常に多いのが現実です。
自分の乳房の構成がどれに分類されるのか知ることは大切ですが、現在はほとんど通知されていません。また問題は、デンスブレストは病名では無いため、保険を使っての精密検査(保険診療)は受けることはできないのです。
デンスブレスト対策もあります。
1.通常のマンモグラフィに3Dマンモグラフィ(断層マンモグラフィ)を追加する
2.エコー検査を追加する
3.MRI検査を追加する
3月からヴィークでも3Dマンモグラフィを導入しました。3D断層とは、CT検査と同じように乳房を輪切り状態で撮影することで乳腺実質に埋もれている乳がんを見つけやすくします。
また、エコーもハイビジョンタイプをもう1台導入しました。もちろんエラストグラフィ機能付きで乳腺の硬さもチェックできます。
40代では60~70%が、50代でも50~60%の人がデンスブレストと言われています。
乳房の構成分類 脂肪性、ほぼ完全に脂肪
乳腺散在、乳腺内の脂肪が70~90% 病変の検出は容易
不均一高濃度、脂肪が40~50%程度 病変が隠される危険性あり
高濃度(極めて高濃度)、脂肪が10~20% 病変検出率は低い